曹洞宗の葬儀には太鼓などの楽器が用いられ、要所でそれらが鳴らされることが特徴です。授戒と引導の儀式が中心の葬儀となっています。
坐禅で悟りを開く
曹洞宗は、道元を開祖とした禅宗の一派です。正方眼蔵を経典としています。正方眼蔵とは、道元が何十年もの歳月を費やして書いた未完成の仏教思想書のことです。これは現在でも非常に高い評価をされています。曹洞宗は禅を中心とした宗派です。只管打坐を最も重視し、修行を行います、只管打坐とはただひたすらに坐禅を組むという意味です。これは禅戒一如の考え方が元になっている修行です。禅戒一如は坐禅と生活は一体のものであり、座禅で得たものがそのまま生活の中に現れるとしたものです。坐禅によって人が本来持っている仏の心の側面を現し、それによって徳を得ることになります。坐禅と同じく生活も重視しているため、戒律も厳しく、衣食住のあらゆる面が正されたとされています。曹洞宗は、浄土に行くことが重要な目的ではなく、即座に悟りを開くために一連の葬儀が行われます。禅宗一派の葬儀は要所で楽器を鳴らし、一般的な葬儀より少々賑やかになるのが特徴です。
太鼓を鳴らすのが特徴
曹洞宗の葬儀は、授戒、念誦、引導という部分に分かれています。授戒で故人が仏の弟子になる証を授かり、念誦で故人に荼毘を告げ、引導で故人が仏の世界に送り出されます。禅宗の葬儀には2種類あり、徳を積んでより深い境地を制した尊宿の葬儀と、修行中の身であり、その最中に亡くなった亡僧の葬儀があります。一般の在家信者は亡僧の葬儀を行うことになります。これは同じ禅宗の一派である臨済宗も同様です。ただし葬儀の細かい作法は臨済宗とは異なる部分があります。曹洞宗の枕経には臨終諷経が読まれます。これはこの世の無常を説く意味合いが込められたお経となります。葬儀では、まず授戒から始まり、入堂した後剃髪で僧侶が故人の頭に剃刀を当て、剃髪の偈が唱えられます。その後懺悔文などを経て、血脈授与までが授戒の部分です。ここから念誦に入ります。入龕諷経、龕前念誦、起龕諷経、山頭念誦が行われ、その後引導法語となります。山頭念誦では太鼓などの楽器を用いて音が鳴らされます。山頭念誦はもとは葬儀場へ向かうための作法でしたが、現在は寺で行われています。その後焼香が行われ、出棺となりますが、焼香の間には修証儀が唱えられており、その中で作法を行うこととなります。出棺の際には太鼓などが鳴らされることとなります。
曹洞宗の焼香
曹洞宗の焼香の際は、行う回数が2回と決まっています。まず香炉の前で一礼し、1回目はお香を右手親指、中指、人差し指の3本で持って額の高さまで押し頂きます。2回目は少量のお香を持ち、今度は額まで押し頂かずに香炉にくべます。ただし参列者が多数いる場合は時間短縮のため焼香を1回のみで済ませる場合もあります。